このお話しは、君ハピ本編30話の午前中に起きたお話しになっております。キョーコが記憶を取り戻す前の出来事です。三人称スタイルのお話しです。
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BOX”R”の撮影を終えた翌日の午前。10時近くを回った頃最上家には、お客様が来ていた。
キョーコがお茶を持って客間に入ると、そこには不機嫌な顔立ちの村雨泰来と不可解な顔立ちをした愛華が炬燵の座布団に座り、その二人とするかのように対面している蓮。
そしてその左右隣席には、映画『Tragic Marker』の監督である近衛監督とプロデューサーの前川氏にBOX”R”の監督の安南寿豊氏、蓮のイトコでありキョーコのハトコでもある元子役の”最上ユート”こと本名”繁縷悠人”が隣席していた。
「いやぁ、やっぱり冬は炬燵やなぁ。温かくてぬくぬくしてついつい眠くなってしまうんよ……って、なんか慎重な面持ちなんやけど……皆😅。どないしたんや？
何で俺まで呼び出されなきゃあかんのや？」
炬燵布団を顔近くまで持ってきて全員の顔を見て不可解な顔立ちをしている悠人。その顔には、昨夜の撮影時にショータローと殴り会ってる時に着いたのであろう。
青アザが少し目立っており、口元と顎にも絆創膏が痛々しく貼られていた。
「俺も撮影終ったけど、前に京子ちゃんにお願いしてて最上家の道場見たいから挨拶がてら今日行くこと約束してたんだよな。そしたら村雨君達も京子ちゃん達と約束があるんで行くっていうから来たら、これだものビックリしたよ大物映画監督がいたんだから。何で近衛監督と前川Pがこの家に来てるんですか？」
安南監督が近衛監督に聞くと少し興奮した模様で話し出した。
「あの……そのね、僕達は別件で京都の撮影所に来てたんだけど。昨夜、敦賀君から緊急事態が起きて話したい事があるんで近い内に会えませんか？って連絡貰ったんだよ。
そしたら京都にいるって伝えたら、この家の住所教えてもらってね。だったらこっちから行ってもいいよって伝えたんだ。だってこんな機会2度とないかも知れなかったし。あの！伝説のオスカー女優にして後年は、女性で尚且つ外国人ありながら日本で映画監督として名を馳せた”ジェシカ・アンダーソン”氏が暮らしてた家に来れるなんて！！
最早、感無量状態～～いつ死んでもいい😂！！」
近衛監督は興奮して、隣の仏間に飾ってあるキョーコの曾祖母の写真に手を合わせて拝み始めたのである。
因みにその姿は、不破尚のシングル曲のプリズナーの天使を演じた時のキョーコに良く似ていた。
「近衛監督…それいつ知ったんですか😓？」
キョーコがおそるおそる近衛監督に聞くと…
「ん？京子さんのお母さんが弁護士の最上冴菜さんだって知った時に気が付いたけど？そこから大伯父さんが作家の九重日出晴先生だって事も分かった。
それで！納得言ったんだよ。先生の若かりし頃の写真を昔、映画雑誌で見たことがあって一緒に妹さんの女優で歌手だった日鶴里雪子さんと写ってる姿を見て、敦賀君と京子さんにソックリな理由が！！
以前から二人が身内なんじゃないか？って噂があったけど多分その映画雑誌とダークムーンの打ち上げパーティーの二人の姿が似てたから流れたんじゃないかな？」
「成る程……そう言った経緯で俺達の噂が流れたんですね😅。」
眉間に指を当てて困った蓮。その姿を見て、村雨泰来はとうとうあの禁断の話を出してきたのである。
「んなこたー今は、いいんだよ！んでどーなんだ！？敦賀君なんか？それとも悠人なのか？あの！変態兄妹の兄貴は！？それともカイン・ヒールはオメーら二人で演じてた！何て言って来ねーよな……あん？
雪花が京子ちゃんだって事は、昨日愛華ちゃんに教えてもらってもう知ってるし！！」
「カイン・ヒール……何それ？連兄ちゃん、外人役でもやったん？雪花ってのもキョーコが演じたんか？それにしても何でそんな事一緒に共演してたのに知らんの？」
悠人が不思議な顔立ちで連に聞くと、村雨泰来と愛華が蓮とキョーコに目を会わせ、安南監督は目を点にしてなんの事やら分からない様子で見ている。
「悠人が知らないってー事は、やっぱりオメーらかよ！！こんの変態兄妹どもが！！よくも俺達を騙してくれてたな！！」
いきなり村雨泰来は、立ち上がり蓮の元へと寄ってきて胸ぐらを掴んできたのできた！
「ち、ちょっと村雨さん！これには事情があるんです！ごめんなさい謝りますから穏便にしてください！！」
キョーコは、蓮の胸ぐらを掴んだ村雨の腕に手を差しのべると近衛監督と前川氏も慌てて止めに入った。
「うわっ💦！村雨君落ち着いて！！僕たちからも説明するから！！」
「監督！待ってください！！」
止めに入った監督達だったが、胸ぐらを掴まれている蓮は腹をくくった表情で驚くべく事を言ってきたのである。
「村雨君俺は言い訳はしない。でもこれは映画のプロジェクトに関わる事だから監督と前川プロデューサーには怒らないで欲しいんだ。それで構わないなら、ここで一発殴ってもいいよ。」
蓮は正直に言うと、村雨泰来は掴んでいた右手の拳を振り上げ蓮の顔を目掛けてくると思いきや腹の方へと方向変換し思いっきり腹部に拳を入れた。
「…………っく。ゴホッ！な、何で腹に💧」
「大丈夫！？お腹思いっきり殴るなんて！村雨さん何て事をするんですか！？」
「顔は、俺達芸能人にとっては商売道具だからな。しかも相手はトップモデルでもあるし、何かあって賠償金なんか求められてみろ！そっちの方がこえーわ！！
だから腹で我慢してやる！！ふんっ！これで勘弁してやるよ。映画のプロジェクトってのも気になるしな。」
村雨泰来は、そう言うともといた場所に戻り用意された茶菓子を手に取り食べ始めた。
「いよっ！流石、元バリ族総長。やっぱり他の俳優に頼まなくて正解だったな。次の作品にも出て欲しいよ。」
安南監督が揶揄すると、近衛監督と前川氏がヒール兄妹の事を全て話始めた。その話は、悠人と安南監督も聞いていたが映画が公開されても暫く黙っていて欲しいと約束してもらったのであった。
「はぁ～～～シークレットアクトって……何考えてるんですか監督😰しかもまだ互いに身内だって気づく前に、京子ちゃんに妹としてサポート役に付けるなんて、そっちの社長も大胆なことするなぁ。」
「はぁ……その事に関しては急な提案だったもので。私もビックリしちゃってたんですよね。」
「ねえその雪花(セツカ)って名前さぁ、もしかしたら曾祖母さんのジェシカさんとお祖母さんの雪子さんから取ったんじゃない？雪をセツに代えて花を”カ”と呼べば似てるよね？それにしても京子ちゃんも純粋な日本人じゃなかったんだ。通りで金髪似合うわけよね。」
愛華がキョーコにセツカの名前の由来を聞いてきて全員が怪訝な顔をした。
「あれ？もしかして…社長その事、知っててわざとその名前にしたのかな😓？」
「あの人そう言うこと好きだからな。黙ってて利用した可能性高いと思う😅」
二人の話を聞いて前川氏がキョーコに話してきた。
「何か雪花って勿体ないなぁと思ってたんだよね。あのスタイルと容姿は使えるって監督にも話したんだ。そしたらジャンヌダルクのデザイナー兼社長さんが僕の所に雪花の事を聞き付けてきたんだよ。
仕方無しに二人がシークレットアクトでヒール兄妹をやってること話したらスポンサーに名乗り出てくれたんだ。
いやあ棚ぼたラッキーな出来事でもあったな。人気ブランドメーカーもスポンサーに入ってくれたんだから。
今、京子さんが姉妹ブランドの”アンジュ”のイメージモデルやってるのって雪花がキッカケだったんだよね。」
「え！？それマジかよ！スゲーじゃん。京子ちゃん今、歌も出してるし歌手としても活動してるよな？
最早何でもありだな。正にマルチタレントじゃんか！」
村雨泰来に誉められキョーコは思わず照れてしまい赤くなっている。
「あの……それとヒール兄妹をしている時に、二人だけでなく皆さんには沢山色々と迷惑かけてしまって申し訳ありませんでした！」
「俺も村雨君には色々と迷惑かけたし、不本意な事もあったろ。本当にすまなかった。」
蓮とキョーコは、一緒に土下座して謝罪。
「ああ。もういいよ💨分かったから。あれが全部演技だったとわね。二人ともスゲーわ、全然気付かなかったものな。それだけ演技力あるって見に染
て分かった気がする。2世とか3世なんて関係ないな。元々持ってる才能なんだって証拠でもあるし、はっきり言って羨ましいよ。
素性隠して今まで活動してハリウッドに進出決めた！ってんなら本物だろ？気にするこたーねーじゃん。俺別に、2世3世芸能人嫌いじゃないし。んまあ、中には嫌なヤツなんかもいるけどな。二人は嫌いじゃないぜ😁」
村雨泰来は、お茶をすすりながら最後にはニカッと笑いドヤ顔をしてきた。
その顔を見た全員は、思わず笑ってしまった。とにもかくにも取り敢えずこの問題は、事なきを得ることに成功。
翌年の１月に映画『Tragic Marker』のプレミアム試写会にて、蓮はカイン・ヒールとして、雪花に扮したキョーコは映画のイメージガールとして登場しその独特なファッションと怪しい雰囲気を持つ謎の日系イギリス人兄妹が世間の話題をさらった。
２月に映画が公開されて、更に３月にBOX”R”のSPドラマが放映されると悠人の怠慢対決シーンにてそのボロボロになった姿がカインと似ているとネットで炎上してしまい、そこから公開からたった1ヶ月でヒール兄妹が敦賀蓮と京子であることがバレてしまったが、二人のシークレットアクトプロジェクトは演技力がなければ出来ない高等なテクニックでもあった為に二人の俳優としての評価は益々上がるという棚ぼたラッキーな出来事になるのであった。
→番外編 10へ。
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番外編も多くなりましたねぇ。どちらかと言うと番外編の方でキョーコの生い立ちや親族についてのネタバレをする事が多いですね。
このお話しに出てくる、キョーコの曾祖母。ジェシカ・アンダーソンなる人物は私が考えたオリキャラで、他のお話しにも名前は登場します。
しかし職業がお話しによって違いますね。イギリス出身の英国人と言うのは同じですが、『君ハピ』ではオスカーを受賞したこともある元ハリウッド女優にして映画監督でもあった人物。
女優として絶頂期だった頃に突如日本に渡り、日本の時代劇映画の魅力にとりつかれ映画監督に転身。
そこでフランスと日本人の血を引くキョーコの曾祖父と出会い大恋愛の末に結婚。という設定になっております。
近衛監督が興奮するのは言うまでもありませんね。
半ば伝説化している人物でもあるので。
本誌ではキョーコが混血であることは描写されてませんが、示唆するような場面が幾つかありますので私は混血疑惑を推してます。
二次の世界は何でもありじゃ(笑)
