情熱 VISION 先進技術で、価値ある1台を

いつも笑点ばりに笑い転げている歌舞伎夜話。でも時蔵さんはきっと違うんだろうなと想像して、ちょっと緊張して参加してまいりましたよ。

本当にお綺麗な白髪(はくはつ、と読んでいただきたい！しらがではなく)に寒色系のお着物で登場した時蔵さん。冒頭で「今日は戸部さんをたくさんいじめたいと思います」と軽くジャブを放ちつつ、始終穏やかにわかりやすく、そして情熱を持って歌舞伎について語ってくださいました。いや〜、面白かった♡(戸部さんのことは全然いじめてなかった)

ほんのちょっぴり歌舞伎に慣れてきた私には、とってもお勉強になるお話ばかりで、夜話で初めてメモをとりました！(今までの役者さんのは勉強にならなかったと言っている訳ではないんですよ！！私が分からなすぎたことも多々あったんです)

メモを全部載せるわけにはいかないですが、その中でも印象的だったことを。

＊マハーバーラタや1月の国立の新作なんかは、台本が出てきたら、読んでから自分の言いやすいように変えたり削ったりする。そうすると七五調になっていく。歌舞伎に取り込んで行く。全く変えない人もいてすごいなと思う。

＊義太夫はかけあい。私なんかはまだ未熟なので、三味線においかけられてあせる。昔の先輩方の映像を見るとお三味線のほうがついてくる。そうならないといけない。

＊義太夫は動きが少ないので、その分ハラで語る。(ハラってこういう意味だったのかー！と初めて腑に落ちました！)

＊御殿の初日には足が震えた。久しぶりにあがった。女方として憧れの役だった。

＊先輩方から教わる時、義太夫より、世話物の方が色々決まっていることが多い。泣きたい時に泣けばいいし、「ここで泣かなきゃ」というのはない。「適当にやっておけばいいよ」と言われたりする。(司会の戸部さんも、素人目だと反対かと思っていたとおっしゃっていました)

＊例えば魚屋宗五郎や吃又など、「これ」という完成形の型ができているものは、みんな同じ型でやる。でもいろんな型があるほうがいいと私は思う。

＊私の最初の封印切は澤瀉屋。芝翫のおじさんに習った時、「河内屋はどうだったかな？」と立役の相手によっての型を覚えていた。自分は覚えていられないけれど、若手に教える時、「こんな型もあるよ」という話はするようにしている。

＊立役をするのは楽しい。女方だと「正しく次の世代に伝えないと」という責任感がある。立役をするのは、女方からの開放感があってとにかく楽しい！

＊お三輪は梅枝に見せたかった。教えてもらった歌右衛門のおじさんにとって大切な演目。歌右衛門さんは神様みたいな存在。それを梅枝に見てもらいたかった。このやり方を知っているのが私だけになってしまったという危機感がある。もちろん映像でも残っているけれど、生で見せたかった。(福助さんも習ったけれど療養中)

最後の発言は質問コーナーでのものです。じーんと感動が広がって、自然に拍手が生まれました。どこだか忘れてしまったのですが、何かの演目で今は誰もやっていない梅幸さんの型があったそうなんです。それを今は誰も継いでいないのが残念とおっしゃっていた伏線があってのお話でした。いい話だあ。