ラウドネス クロスロードしよう
ラウドネスは人道主義を超えた!?
現在ではアニソン界の長老とも呼ばれる、
レイジーのフロントマンの半生を綴った自叙伝です。
著者名に「アニソンシンガー」と併記されていることからも推察されるように、
アニソンシンガー・影山ヒロノブ(以下「影」)の人生を
「夢」という観点から振り返る内容となっています。
音楽を始めたきっかけ、レイジーの結成・デビュー・解散、
ソロデビューしてからアニソンシンガーとして生きていくに至るまでのどん底生活、
そしてJAM Project結成。
そんな彼の人生には「夢を叶えてもお前の人生は続いていく。ゴールなんて定めずに
いつでも夢を抱いて生きていけ!」という強いメッセージがこもっています。
気になったのは、『高崎晃自伝 雷神』では名前が出ているレイジーのオリジナル・ドラマー
(後に44マグナムのドラマーとなった伊賀照幸)が「I君」とイニシャル表記だったり、
メイク・アップのバンド名を出さないこと、
そしてレイジー再結成についてほとんど触れていないことです。
前の2つは主に楽器関連の書籍や専門誌を出版しているリットーミュージックと、
「中央公論」のような総合雑誌や学術系の新書に強い(ロックにはあまり強くない?)
中公との差かと思いましたが、影との関連が少ないからとも思えます。
タッカンは後に伊賀を『氣』のレコーディングで起用していますし、
メイク・アップは元々ひぐっつぁんと高校でやっていたバンドの名前を
故・松澤浩明が引き継いだものです。
一方、伊賀はレイジーのデビュー以降の影のキャリアとは無関係で、
メイク・アップはアニソンつながり以上ではないということでしょう。
レイジー再結成のきっかけは『ウルトラマンダイナ』のエンディングテーマで、
「ウルトラマンが解散して散り散りになったレイジーを再集結させた」という物語は
アニソンシンガーとしてはオイシイ話のように思うのですが、
現在の影にとってメインの活動はJAM Prophetであるということが大きいのでしょう。
また、レイジーの再結成は「夢よもう一度」的なものではありません。
全てのメンバーにメインとなる活動が他にあることからもそれは明らかです。
デビュー40周年を迎えたレイジーは本書で語られる「夢」とは少し縁遠い存在なのでしょう。
長く続けるためには、誰にも負けない強い個性を持つことが大事という主張があります。
JAM Projectは「ロボットが合体するときのパワフルな歌なら、俺たちに任せてくれれば間違いない」と胸を張ります。
そこには、「俺がいるからこの歌が成立しているんだ」というニイちゃんの主張に通じるものがあります。
ラウドネスはタッカンのギターとニイちゃんの声など、強い個性を持ったバンドです。
人間椅子もかなり人を選ぶものの、高校生の頃に『鉄格子黙示録』を作曲した
和嶋慎治の感性と津軽弁を用いた楽曲という個性が持ち味のバンドです。
陰陽座に至っては、「産まれた時から絶滅危惧種」と自ら言うくらいに
他にはない世界観を作り出していました。
「相棒がいる」という話もそうですが、誰にも負けない強みは
持続的な活動をするための強力な武器になると思われます。
アニソンがタイアップによる、アニメ本編とは無関係な楽曲が多くなった件について、
別の記事で書いてみたいと思います。
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