暖炉がなぜかギークの間で大人気
グーグル化する暖炉
誰にでもお気に入りの場所がある。
ボクにとっての充電スポットは、ココ。
自宅から15分くらいの場所にある、日帰り温浴施設。
キャンプをテーマにした施設で、メディアでも注目されている。
昨年の大晦日、家族揃って、リラックスした場所でもある。
尊敬する後輩が作る、美味しいベーグルを食べられるのもポイント。
暖炉の前で、ベーグルを頬張っていると、ホントいろいろと
良いアイデアが湧き、明日への英気を養える。
これからも、何かに行き詰った時、さらなる飛躍をしたい時、
この暖炉の前で、一人の時間を持ちたいと思う。
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12月のクリスマスに向けて
クリスマスの話を読もうと思い、
これを読み始めた。
『ポアロのクリスマス』
アガサ・クリスティー(1938年)
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しかし12月はいつも多忙で
昨年も『クリスマスに少女は還る』を
クリスマス過ぎてやっと読み、
今年もクリスマスまでに
読み終れなかった。
情けない。
あらすじ
12月22日。
南アフリカからロンドンにやって来た男
スティーヴン・ファーは
乗り合わせた汽車の中で
黒髪の美しいスペイン娘、
ピラール・エストラバドスに出会う。
彼女はある目的で
親族の家に行く途中だという。
その場所が
ゴーストン館だと知ったスティーヴンは
怪訝な表情になった。
ゴーストン館では
アルフレッド・リーと
その妻リディア・リーが
クリスマスに集まる親族のことで
頭を痛めていた。
アルフレッドの父親で
当主のシメオン・リーは
南アフリカで財を成し、
百万長者になった大富豪。
リューマチで病床に臥せっているが
まだまだ活力のある老人で、
今年のクリスマスに何を思ったのか
家族を全員集めようと
手紙を出したのだ。
シメオンには
息子が4人と
娘が1人いた。
長男アルフレッドだけ
妻のリディアと一緒に
ゴーストン館に住み、
今も父と暮らしている。
母のアデレイド・リーは
傍若無人に振舞う夫に
いつも苦労させられ
若くして死亡していた。
次男のジョージ・リーは
国会議員で、
若い妻マグダリーンと
暮らしていたが、
行くのが義務だと考える。
もしかしたら
父にとって
最後のクリスマスかもしれない。
三男のデヴィッド・リーは
母が大好きだったので
母を苦しめた父を許せず
家を飛び出した。
そんなデヴィッドのところにも
クリスマスに戻って来いという
手紙が届き、
妻のヒルダに後押しされて
やっと家に戻る決意をする。
四男のハリー・リーは
父の金を持ちだして
20年前に家出していたが、
金が無くなると
図々しく無心する放蕩息子。
今もお金が無くて困っていたので
帰ってこいという手紙に
素直に従うことに決めた。
父を裏切ったため
真面目なアルフレッドとは
とくに仲が悪い。
長女のジェニファーは
スペイン人のところに嫁いだが
昨年亡くなり、
娘が一人残された。
シメオンはその娘ピラールを
引き取ろうと彼女に手紙を出した。
12月23日。
こうしてゴーストン館に
リー家の一族が集まった。
シメオンの南アフリカの仲間の
エビニザー・ファーの
息子スティーヴンが
たまたまロンドンまで来ていたので
館を訪れると
シメオンは彼を歓迎して
クリスマスを一緒に
過ごしていきなさいと勧める。
こうして家族の集まりに
もう一人来客が加わった。
館には家族の他に
シメオンに長く仕える
老執事のエドワード・トレッシリアン。
シメオンの従僕シドニー・ホーベリー。
それ以外に女中たちが住んでいる。
12月24日。
家族全員がシメオンの部屋に呼ばれ
遺書の内容を
新しく書き変えると告げる。
そして自分の息子たちを
軟弱だ腰ぬけだと罵倒する。
全員の秘密や弱みを
ほじくり出して
一同に不穏な空気が流れた。
老人は家族で楽しく
過ごすつもりなど
最初から無かった。
家族を仲違いさせて
楽しむつもりなのだ。
夜8時15分前、
孤児院の寄付金集めで
サグデン警視が館にやって来た。
警察と聞いて動揺したホーベリーは
その後外出するが・・・
サグデンが帰り、
食事の後でそれぞれが寛いでいると
階上のシメオンの部屋で
格闘しているような物音が聞こえ、
甲高い絶叫が響く。
断末魔の叫びに驚いた一同が
すぐ部屋に駆けつけるが
ドアに鍵が掛かっていて開かない。
男たちの体当たりで
ドアをぶち破り
中で見た光景は凄惨なものだった。
家具は散らかり
暖炉の前で
血まみれのシメオンが
喉を刺されて殺されていたのだ。
デヴィッドが言った。
「神のひき臼はまわるのがのろいが・・・」
リディアが言った。
「あの年寄りが、
あんなにたくさんの血を持っていたと、
誰が考えただろう?」
玄関のドアをノックするサグデン警視。
給仕から旦那様が大変ですと聞かされ
部屋に入ると今まさに
全員が死体を見て
立ちつくしている場面だった。
ミドルシャー州の警察部長
ジョンスン大佐のところにいた
名探偵エルキュール・ポアロは
警察に同行し現場に赴く。
人々が駆け付けた時に
鍵のかかった部屋の中から
犯人も凶器も消失した密室殺人。
現場に落ちていた
ゴムの切れはしと木釘は
何を意味するのか?
遺産を巡る家族間の争いなのか?
金庫の中から盗まれた
未加工のダイヤモンドは
誰が盗んだのか?
窃盗犯が殺人も犯したのか?
クリスマスに起きた殺人事件。
ポアロは
被害者の性格こそが
事件を解くカギだと言うのだが・・・
解説
偏屈な老富豪が
クリスマスに親族を館に呼び集め、
新しく遺言状を書き直すと
不安を煽った夜に殺害される。
格闘の物音と断末魔の悲鳴に
駆けつけた一同が、
鍵のかかったドアを破って中に入ると
血まみれの
富豪の死体だけで、
犯人の姿も凶器も消えていた。
クリスマスの夜の
本格密室ミステリー。
ポアロものだが、
ヘイスティングス大尉は登場しない。
文庫解説の霞流一氏が
指摘しているように
随所にクリスマス的趣向を
凝らしているのが上手い。
『マクベス』の一節、
「あの年寄りが
あんなにたくさんの血をもっていたと
誰が考えただろう」を引用してあり、
死体から大量の血が流れて
まるでサンタクロースの服のような
真っ赤な服を連想させる。
ポアロが買ってきた「つけひげ」が
手掛かりになったり、
『クリスマス・キャロル』の
3人のゴーストを絡めた伏線も
老執事トレッシリアンの
亡霊を見たような既視感を使って
素晴らしい効果をあげている。
密室殺人のトリック自体は
肩すかしな印象だが、
遺産を巡って醜い争いを繰り広げる
リー家の一族と、
そこに紛れこんだピラールと
スティーヴンなど、
怪しい人物が多すぎて面白い。
何十年も待って仕返しをする
被害者の執念深い性質が
最終的な決め手になるのも見事。
「大量の血」と
「断末魔の悲鳴」の謎は
カーが好きな人向き(意味深)。
犯人の意外性もあり、
伏線とレッド・ヘリングが
大量にばら撒かれた
クリスティーらしい作品。
欠点としては・・・
●嘘をついている人物が非常に多く、
家系図がないのでやや混乱する。
●密室トリックは
ややバカトリック気味。
そんなにうまくいかないだろう。
実際にどんな物か
想像ができないのも弱点。
(似たような物は想像できるが)
●大量の血に問題あり。
●家族だからといって
癖やしぐさがそんなに
一致するものだろうか?
●P.316の「かわいそう老人!」は
「かわいそうな老人!」の誤植。
●ホーベリーが盗み聞きした
シメオンの電話の中に
「ダイヤモンド」の言葉が出て来るのは、
物語の中で矛盾が生じる。
俺の感想は・・・
クリスマスまでに
読めなかった後悔が強く、
時期を外して申し訳ない。
天然もののバカミスと聞いていたが
それほどバカっぽくはなかった。
まあアレをがっかり系と
言ってしまえばそうなんだけど(笑)
登場する女性陣では
美しいピラールより、
リディアが好き。
いい奥さんだと思う。
「アルフレッド、わかっているでしょう。
わたし、あなたを愛しているのですもの・・・」
P.467の台詞がグッとくる。
物語はよくあるパターンの
親族が集まった夜に
老人が殺されて
みんな動機があるというやつ。
遺言の内容が問題で、
書きなおす前に殺されたので、
「得をする人」と
「損をする人」がいて、
心理的に「損をする人」が疑われるが
実際の遺言の内容ではその人は
「損をしない」ことになっていて・・・
そこにダイヤモンドの盗難が加わり
もうわけがわからなくなる。
怪しい動きをするやつが多いし、
怪しい発言も多い。
誰が犯人でもおかしくなく、
白いニンフの彫像が3体あるところで
「犯人は〇〇だな」と確信したのに、
最後はそうきたか!と驚かされた。
さすがクリスティーは
一筋縄ではいかない。
★★★★★ 犯人の意外性
★★☆☆☆ 犯行トリック
★★★★☆ 物語の面白さ
★★★★★ 伏線の巧妙さ
★★★☆☆ どんでん返し
笑える度 -
ホラー度 -
エッチ度 -
泣ける度 -
総合評価
8点
—————————-
※ここからネタバレあります。
未読の方はお帰りください。
—————————
※ネタバレを見てはいけないと
書いてあるのに
ここを見てしまう「未読のあなた」
あなたは
犯人に最初に殺されるタイプです。
十分に後悔してください。
●ネタバレ解説
〇被害者 —●犯人 —動機【凶器】
①シメオン・リー —●サグデン警視 —復讐【刺殺:ナイフ】
結末
シメオン・リーには
浮気をして産ませた子供が
他にもいて
それがサグデンだった。
彼は警察に入り、
警視にまで昇進したが
父への恨みは消えず、
いつか父を殺そうと計画していて、
クリスマスに家族が集まるタイミングで
計画を実行に移した。
8時前に訪問した際に
すでにシメオンを殺し、
仕掛けを施して
窓の外にコードを垂らし、
9時15分にそれを引いて
外から部屋の中で
物音と悲鳴を出した。
その後
玄関から訪ねて現場に合流。
逮捕の決め手となったのは
リー家の一族に共通する
癖としぐさの遺伝であった。
●3人のゴースト。
物語の中で、
老執事トレッシリアンが
以前にも同じ場面を見ているような
既視感があると混乱する。
それは玄関のベルが鳴り、
ドアを開けた時に
幽霊でも見たように
錯覚したのが原因。
これは何かというと、
ハリー・リーと
スティーヴン・ファーが
そっくりだということを示唆している。
2人とも
「大柄な体格」
「鼻すじの通った高い鼻」
「ハンサム」
という見た目の共通点があるが、
「同じ癖をもっている」ことに
注目してもらいたい。
その癖とは
「頭をうしろにそらして笑う」
「指であごをなでる」
この2つである。
この癖が
「さりげなく」挿入されている。
それぞれ見てみよう。
ハリー・リー
“「なんですって?あの出目が議員ですって?ほう、そいつぁいい!」
ハリーは頭をうしろにそらして笑った。”(P.85)“「あなたは、本当にぼくをここに留まらせたいのですか、お父さん?」と、ハリーがきいた。そして頭をうしろにそらせた。”(P.109)
“ハリー・リーは、あごを上
て、笑った。
「すぐにわかりますよ—誰かがすぐ、あなたがたにしゃべるでしょうからね!」”(P.191)“ハリーは頭をうしろにそらして笑った。彼は言った。
「おやじがぼくのことをすっぱり切りすてたら、きみはもっと満足しただろうね?きみはいつもぼくが嫌いだったからな」”(P.377)“ハリーは頭を振り上げた。そして指さきであごをなでまわした。それは昔から彼のくせになっていたゼスチャーだった。”(P.87)
スティーヴン・ファー
“「ええ、まだ当分いるつもりです。たった今着いたばかりですから」
彼は頭をうしろにそらせながら笑った。”(P.104)“スティーヴン・ファーは椅子によりかかって、人指し指であごをなでた。それから、いくぶん固くなって言った。”(P.242)
このほかに、
部屋に入ってきた時に、
スティーヴンが一瞬ハリーに
見間違えられることもあった。
“ドアがふたたびあいたので、ジョンスン大佐は眼を上げた。瞬間、彼は入ってきた人物がハリー・リーかと思ったが、よく見るとスティーヴン・ファーだったので、自分のまちがいに気がついた。”(P.239)
→以上のことから
ハリーと同じ癖をもつ
スティーヴンは
シメオンからの遺伝を受け継いだ
隠し子であることがわかる。
これに加えて
サグデン警視も
「大柄な体格」などの見た目が
ハリーとスティーヴンと同じ。
その真相は・・・
彼もシメオンの隠し子である。
そして彼こそが
この事件の真犯人であった。
ピラールがきわどい発言をして
サグデンを焦らせている。
“「もちろん、とても、とても年とっていました。椅子に座ったままで—顔もすっかり干からびていました。でも、やっぱりあたし、ひと目見ておじいさんが好きになりましたわ。若かったころは、きっとハンサムだったにちがいないと思いますの—あなたのように」ピラールはサグデン警視に言った。彼女の眼は無邪気な喜びをたたえて、サグデンの美しい顔に注がれた。サグデンの顔はこの思いがけないお世辞に赤煉瓦色に変わった。”(P.231)
→ピラールがハンサムに目が無い
尻軽女のように思わせて
(まあ実際そうだが)
サグデンがシメオンに似ていると
示唆している。
ただしサグデンだけは
「口髭」があるため
はっきり似ているか
わからないようにしている。
リディアが遠目に見える人物が
スティーヴンかサグデン警視か
どちらかわからないことで、
この3人が似ているという伏線もある。
(P.387)
サグデンの「あごをさわる」癖は
見過ごしがち。
“サグデンはあいまいに指先であごをなでた。彼はちょっと当惑したようだったが、やがて言った。”(P.304)
“サグデン警視はあごを用心ぶかくなでながら言った。”(P.420)
あごをなでる奴が
やけに多いなぁくらいには
感じただろうが、
まさかそれが重要だとは
さすがに思わない。
ポアロが真相を掴んだ決定的な場面。
それはジョージとマグダリーンの
電話の嘘を暴いた後で
サグデン警視が
「頭をそらして笑う」のを
見てしまった時だ。
“彼は大股につかつかと部屋を出ていき、バタンとドアをしめた。
サグデン警視は頭をそらして笑った。
彼は言った。
「うまく行きましたね!今に、わかりますよ!」
ジョンスンは眉をしかめながら言った。
「えらい仕事だった!たしかにくさいね。彼女からもっと供述をとらなきゃならんぞ」
サグデンが気軽に言った。
「なぁに、彼女は一、二分もすれば、もどってきますよ。どう言ったらいいか心が決まれば。ねえ、そうでしょう、ポアロさん?」
ポアロは夢でも見ているようにぼんやり座っていたが、はっと顔を上げた。
「何か言いましたか!」”(P.334)”
ついに頭をそらして笑ってしまった。
そのことにショックを受けて
考え事をしてしまうポアロ。
この場面で、
何かに気付いたとわかるのだが、
みなさんは気づけましたか?
この3人の顔は
よく似ているということだが、
小説では姿が見えないのでわからない。
ここを利用した
準叙述トリックとも言える。
海外でドラマになっているそうだが、
どんなキャスティングで
誤魔化しているのか気になる。
●その他の伏線。
①警察が来たと聞いて
コーヒー茶碗を割ってしまうホーベリー。
(P.122)
→こいつはレッド・ヘリングだが、
茶碗を割るくだりはさりげない。
②ピラールが拾ったゴムの切れはしと木釘。
重要そうなのに、
マグダリーンから話が出るまで
サグデン警視が預かって
誰にも見せなかった。
→これが密室トリックの証拠品。
③そのゴムと木釘のことで
ポアロと話した会話が
そのまま現実になる。
“「単なる当て推量なら、いくらでもできるんですがね!まあ、現物をお見せしましょう。探偵小説ならこいつが全部の謎を解いてくれるのでしょうか。もしあなたがこいつから何かを引き出せたら、わたしは警察をやめてしまいますよ!」”(P.288)
→皮肉にもその通りの結果に。
ちなみに、
サグデンがここで見せた物は
トリックに使用した
ゴムのおもちゃではなく
別のゴムの切れはしなので
本当に意味のない代物だ。
④ジェニファーは青い眼。(P.355)
ファン・エストラバドスも青い眼。(P.356)
しかし娘ピラールは黒い眼。(P.13)(P.21)
→青い眼の両親から
黒い眼の子供が生ま
れる確率は
極めて低いことから
このピラールが娘であるとは
言いきれないことがわかる。
⑤シメオンの部屋の前のくぼみに
2体のニンフの大理石像があるが、
事件の夜は3体あるように見えた。
“「昼間見るとかなりすごいですね。ぼくは先だっての晩、ここを通ったときは、ニンフが三人いたかと思ったが、二人だけでありがたいですよ」
「近ごろは、もうもてはやされなくなりましたが」とポアロも同意した。「しかし、当時はこれで、かなり金がかかったにちがいありません。夜見たほうがまだいいでしょう」
「ええ、ほの白い姿しか見えませんから」”(P.360)
→事件の時は3体。
しかし今は2体。
暗いくぼみでは
白い姿にしか見えない。
以上のことから
ここに白い服を着た誰かが
隠れていたと推測できる。
そしてあの夜、
白い服を着ていた人物は・・・
“その次はピラール嬢だが、彼女は何を着ても似合うだろう。あの姿と髪なら、何を着てもよく見えるにちがいない。今夜も彼女は相変わらず薄っぺらな、安ものの白いガウンを着ているが、でも、もうすぐリー氏がそのことに気づいて、なんとかしてやるだろう。”(P.125)
→白い服はピラールしかいない。
ここに隠れていたのは
彼女だということだ。
⑥割れた風船を見たピラールが
現場で拾ったピンクの
ゴムに似ていると言った時に
ポアロが「窓が多い」と嘆く。(P.399)
→この館は窓が多いから
どこからでも今のピラールの声が
犯人にも聞えてしまっただろう。
これはまずいぞと
ポアロは焦っている。
すでにサグデンが犯人だと
確信しているから尚更に。
●密室トリックの謎。
この密室トリックは
いわゆる犯行時刻を誤認させる
心理的な密室トリックである。
殺人のあと、
外から鍵をかけて密室にする。
そして時間をずらして
格闘が起きているようにするため
椅子やテーブルの家具を
積み上げてロープかコードで巻き
(おそらく括らずに
引っ張れば倒れるようにしていた)
それを窓の隙間から外に出す。
「瀕死の豚」という
音の出るおもちゃをセットして
木釘で口を止めて
それもコードで窓の外に垂らす。
その後、
窓の外からコードを引き、
(テーブルクロス引きを失敗する感じで)
物音を立てて
断末魔の悲鳴を出す。
・・・というトリックだ。
ここが
「よくわからない」し、
「現実的でない」ため、
この作品の評価が低いと思う。
音の出る「瀕死の豚」って何?
ストローにフィルムを貼って
風船に取り付けた
「ブーブー風船」みたいな物を
想像すれはいいのだろうか?
それにこのトリックは、
上手くいくと思えない。
「瀕死の豚」を木釘で止める時に、
失敗したら最悪だし
その音がちゃんと
悲鳴に聞えるのだろうか?
動物の血にクエン酸ナトリウムで
人間の血だと誤魔化せるのか?
暖炉で体温を下げないようにしても
死亡推定時刻を誤魔化せるか?
犯行に使ったナイフをどこに隠した?
大量に血を捲いて
服も着替えてないのに、
血は全くつかなかったのか?
うーむ。
欠点がありすぎる。
●怪しいやつが多すぎる。
さすがクリスティーは
ミスリードが多い。
誰もが怪しい行動をして
撹乱してくる。
冒頭でスティーヴンが
「おれはこの計画を実行するために来た」
といかにもワケありな雰囲気だし、
ピラールも
「うまくやりとげることができるだろうか」
と何やらたくらんでいる様子。
リディアはマクベスの引用をして
死海の庭箱からダイヤが出てくるし、
トレッシリアンの近視を利用して
窓のカーテンにドレスを付けて
そこにいるようなアリバイを
作った疑惑もある。
デヴィッドも
「神のひき臼」や
母の仇討ちの動機、
ピアノの「葬送行進曲」で怪しいし、
ヒルダも殺人現場のドアの前に
最初にいて怪しい。
ジョージとマグダリーンは、
電話の件で嘘をついた。
ホーベリーは
いかにも泥棒タイプ。
コーヒー茶碗を割って動揺しすぎ。
ハリーが一番怪しくない感じだった。
それにしても
警視が犯人というのはいかがなものか。
確かに意外な犯人だけど、
警視という職まで登りつめて
人生を失ってまで
殺す必要があったのか。
どうしても自分の手で殺したいほど
恨みがあったような過去は
語られなかったので
いまいち納得できないでいる。
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暖炉 関連ツイート
知り合いに北海道出身の人が多数いるから余計に心配してるのにTwitterを見るとバーベキューがどうの電気の使われ方が気に入らないから暖炉に薪をくべればいいとか?もうわけわかんない!… https://t.co/REtpZttkEN
https://t.co/wDq2IspQKp
住宅をちょっと豪華に印象付ける暖炉や薪ストーブの販売数が伸びている(英国政府としてはCO2排出が洒落にならないので規制かけたい)。…